春風萬里荘は茨城、いや関東でいちばんパワーを感じるところ

笠間であんなことしたいなあ。こんにちは、たくろー(@takurokoma)です。

笠間に行ってみたいというか、笠間の春風萬里荘(しゅんぷうばんりそう)に行ってきました。ぼくが今まで訪れた茨城、いや関東のスポットでは間違いなく満足度がNo.1でした。

今回は、そんな春風萬里荘から茨城県、そして「笠間」という場所について考えていきたいと思います。

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春風萬里荘とは

春風萬里荘とは、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)が住居として300平方メートルの瓦葺きの屋根を北鎌倉より移築し「春風萬里荘」と名付け、自らの住居としていたものです。笠間日動美術館の分館でもあります。

北大路魯山人とはだれ?

じつはここに来るまで北大路魯山人を知りませんでした(笑)。ふいにぶらり途中下車の旅をしたくなったのは、東浩紀さんの著書『弱いつながり 検索ワードを探す旅』を読了したからです。

参照:【即レスは誠実さの証ではない】友人を軽くほったらかそう - あんことあんなことして

そこで……たった1人で立ち上がった”茨城から北上していこう”企画。故郷茨城のこと、そして福島や宮城、山形や秋田、最後には青森まで行ってみたいと思っています。

話が逸れたので戻しますね。

北大路魯山人についてウィキペディアによると、「晩年まで、篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持っていた。」ようです。おもいきりやりたいことをやっている……そんな印象を受けます。

著書が多数ありますし、作家としての顔もあるのでしょう。現在は青空文庫となっているので、ぜひ興味があれば読んでみるといいと思います。 

 そんな見た目が中尾彬っぽいおじさんは、「かなり気難しい」とウィキペディアに書いてありますが、どうやら物事の一つひとつにすこぶるこだわりを持つ人だったことがわかります。

春風萬里荘は、今まで訪れた建築の中では間違いなくナンバー・ワン

そんな春風萬里荘と、それを住居としていた北大路魯山人を知って、今まで訪れたどんな建築や庭園よりも、春風萬里荘その場所を訪れて得られる満足度が間違いなくNo.1だと言えることです。

春風萬里荘に行くと、どこか懐かしく、心地よい。そして洗練された日本人の心を感じることができるはずです。

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瓦葺きの屋根の素朴で、昔ながらな表情を持つ建物の中に入ると、畳の部屋をぐるっと囲む廊下があります。さらに、中庭に面した縁側は缶ビール片手に寝っ転がりたくなるほど落ち着ける空間でした。

そして日本の昔ながらの家庭建築と言えば、土間は外せません。自分の祖母が土間のある家には住んでいなかったこともあり、まるで明治の時代にタイムスリップしたようです。

土間のある玄関は今の日本の建物より広く感じるし、中央に配置されていた囲炉裏はとても立派で映えるのです。

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そして風呂場も素敵でした。公式パンフレットを引用してみましょう。

風呂場は、打脱衣所を含めると十畳程の大きさで、長州風呂と上り湯と洗い場がゆっくりとした広さの中で配され、壁には魯山人自作の青竹を模した半円筒形の織部陶板がめぐらされ、櫚棕縄でしめられた絵付けがなされています。

この風呂場はもちろん、家のデザイン全体があたかも『となりのトトロ』のサツキとメイの家のようでした。そんな建物の内部ばかりだけではなく、庭も行ってみましょう。

この庭園もすごかった。

東京にも多くの庭園がありますが、いつも「整いすぎている」と感じます。しかしここ春風萬里荘は、裏庭には小川が流れ、湿気が作った苔と木々が調和する自然の美がありました。ただただ、本物の自然が見渡す限り全方位に広がっているのです。

共通の感覚を覚えるのは、京都の寺や庭園かもしれませんが春風萬里荘のほうが、どこか私たちとの距離が近い。おそらくお寺や神社ではなく、「住居」だからかもしれません。

「美的空間で日常坐臥(にちじょうざが)を満たさねば、美しいものを生み出せない」との考えの下に作られた春風萬里荘は、格式ばっておらず、どこか北大路魯山人のインフォーマルな遊びが散りばめているような感覚です。

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北大路魯山人が、鎌倉から笠間に来た理由

美食家として知られている北大路魯山人は、なぜ自宅をもとあった鎌倉から笠間に移築したのでしょうか。しかも今よりも約50年も前に、笠間の魅力を感じとっていたのでしょうか?

この理由の一つは「芸術の村」という構想が笠間にあったからでしょう。きっと鎌倉と笠間は似たような雰囲気があるのかもしれません。そしてきっと、笠間に集まる人と、環境に場所の力を感じたのではないでしょうか。

笠間に暮らす人は”自分の場所”を持っている

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茨城県の笠間は、茨城一の芸術の盛んな地域です。工房、カフェ、木材店や笠間稲荷神社など……。考えてみると歴史のあるスポットも多く、また新しく若者が陶芸作家といった表現者として活動している場所でもあります。

ぼくが笠間に来てひしひしと感じたことは、みんな”自分の場所”を持っていることです。いや、ここはおそらく古くから自分自身の居場所を作るために人が訪れる場所なのかもしれません。

だからこそ古いものが新しく感じたり、一方でその逆もあるのです。

古いけど新しい。そういうふうに感じることが多々あるのが、ここ笠間の不思議なところです。 そしてここに集まる人は自分の場所を持って、表現している。つまり開いているんです。だからこそ総じて人に優しく、面白いと思える人ばかりでした。

春風萬里荘の一角に書かれていた北大路魯山人の言葉が印象に残っています。

「門を叩けば、門は開く」

今後も笠間に注目していこうと思います。笠間を体現している言葉だなあ。

 

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写真引用元:春風萬里荘公式パンフレット