単調からテンポのいい文章へ

簡潔な文章で勉強になると思った記事は、HEAPSから。

相手が話したことだけではなく、相手に対する主観(=見たもの、印象)を上手に織り交ぜている。

heapsmag.com

 構成
  • 現在:今の仕事
  • 過去:10代の頃までさかのぼる。人柄を見せる
  • 中過去:過去から今に至る、ブレイクスルーヒストリー。つなげる
  • 現在:仕事のこだわり。その人の特徴を
  • 現在:仕事のこだわり。さらにその人らしい特徴を
 特徴
  • 書き出しからコメントの引用
  • 〜に話を聞いた、みたいないつもどおりの書き出しではない
  • 見出しは2行。1行目の「」はコメント。2行目に要約
  • リードの構造が印象→事実
  • トップ写真がモノクロ 着飾らない黒のドレスを表現
  • ひとつ目の見出しを終えたタイミングで写真3枚も配置。時間の経過を表している
使いやすそうな言葉

〜と

冷静だ、笑う、振り返る、意識する、裏付けている、悶々としていた 

組み合わせ

だが、〜のか?

と笑う。だが、着飾る行為の裏側に何があったのか。「多分、コミュニケーションをとるのが下手だったんです」

 だが、〜については、「」。

トレンドについてそう考える村上だが、ハイ・ファッションについては、「2、3年後にトレンドになる感があります」。

ところが、〜される。「」。

苦しかった。ところが大学進学で東京に行くと、その固定概念から解放される。「学食に行くとゴスロリはいるしギャル風なファッションの子もいるし、

 〜はどこか、〜を思わせる。

その姿はどこか、職人を思わせる。もともと生真面目な性格。ニューヨークに着たころは 

〜よりも〜だから〜。もっというと〜

「好き」というよりも「続けられる」ことだからやる。もっというと「自分にはこれしかないから」と業界を意識する。

〜だから」という理由で〜するあたり、〜を裏付けている。

パリかアメリカのどこかと考え、「ファッションビジネスが盛んだから」という理由でニューヨークを選んだあたり、村上が常に「仕事」を意識してきたことを裏付けている。  

〜」といえば、「」と◎◎する〜をもつ

「スタイリストで衣装デザイナーの北村道子さんのような、自分の世界を普遍的に表現しているのに、同時に市場にも求められる作り手になりたい」といえば、「でももう憧れ過ぎていて会いたくないんです!」といいかぶす可愛さを持っている。

印象的だったフレーズ

しかし、ニューヨークでの生活は、いい意味で頑なな思いの空回りから解放させてくれた。なんでもありなニューヨーカー。気張ったところで誰も気に止めないものだ。「私は本当に自分の足で、ここで生きているのか」。その問いかけが、自分の熱量とうまく付き合うきっかけを与えてくれた。

原文は歌っているようなテンポ感。

主観をカットしてみよう。

「しかし、ニューヨークでの生活は、いい意味で頑なな思いの空回りから解放させてくれた。「私は本当に自分の足で、ここで生きているのか」。その問いかけが、自分の熱量とうまく付き合うきっかけを与えてくれた。」 

事実だけを並べるとリズムは単調になり、どこか味気ない。後ろに係る文章の意味を強くするコメントは、歌うように入れてみよう。

あくまでも客観のなかに主観が融合するギャップ、ということを忘れないように。

※引用文は全て下記の記事からです。

着飾らないを纏う Fashion Stylist / Sayuri Murakami - HEAPSMAG

本田圭佑に学び、ウォーミングアップしてみた

いい記事だと思ったら、どの点に、なぜ「いい」と思ったのか、少し立ち止まり考えてみたく、時間を用意した。まずは王道を攻めたいと考えて、pocketから引っ張りだしたのはこの記事。

newspicks.com

これは2014年の11月14日にnewspicksで公開した記事だ。木崎記者がACミラン所属の本田圭佑に突撃取材し、人生・経営・サッカー論がテーマに本田が語った。公開から1周間で2500コメントを超える。

いいなと思った点を箇条で書いてみる。

1:取材中の「状況」「様子」を描いているから。読み進めるとリアルな絵が浮かんでくる。

11月9日、ミラノ――。

マルペンサ国際空港の荷物検査の出口で待っていると、ワインレッドのスーツを着た本田圭佑が現れた。左手に黒皮のハンドバッグ、右手に黒皮のスーツケース。いつもの出張スタイルである。

「今日は話をせえへんで。さっきも突っぱねてきたところだから」

 

2:聞き手と話し手の距離感がわかること。なお、本田圭佑と本田くんと呼び名を使い分けている。

――まずは本田圭佑の経営論を聞かせてほしい。

本田:「経営論をここで話したら切りがないよ。しかも経営なんて全然そこまで、まだ語れるほどのレベルじゃないし。ただ、まあ勉強している最中ではあるよね」

――いろんな本を読んだり、人に会ったりとか?

本田:「うん。おもしろいよね、そういう意味では。サッカーを始めた頃を思い出すような」

――本田君はサッカースクールをものすごい勢いで増やしている。なんでそんなに数やスピードにこだわるんだろう。

 

3:長くとも3,4行で本田の話を必ず区切る。合いの手を一定のリズムで入れる。

4:本田だけれども、切り口はサッカーに重心を置かない

5:誰もが知っている文脈。本田であることは、話題にできる。みんなが知っているものを違う切り口で取り上げることが、当たり前のように大切なポイント。

テレビで見た番組は、「ここがおもしろかったね!」と翌朝友人と話せる。対してウェブだと、読んだ記事をSNSにシェアして満足し、個人で完結する人のほうが多い。

そもそも話し相手が該当する記事を読んでいないことは当たり前のようにある。そんな状況において、読後の文脈を共有してうえで会話の中心に記事がある仕組みはとてもいい。

6:見出しがバナーに。テレビ番組のスライドを思い起こさせる。たとえば日本一受けたい授業みたいな。

7:後半部、話し手の言葉に「」を入れる。本田が話している事実を強調している。

本田:「サッカースクールについて1度言っておきたかったことがあって。自分がやっているのは、普通のサッカー選手がやっているサッカースクールの関わり合いと、多分、違うと思うのね」

8:インタビュイーが「わたし」「おれ」ではなく「本田圭佑は〜」と自分をフルネームで言うことによる、フルネームの力。

有言実行してきた本田圭佑だが、フルネームには宣言する効果がある。

本田:「今、日本のCMで自分の卒業文集が使われて、本田圭佑のバックグラウンドが日本では知られるようになった。世界でもそれが知られれば、もっと自分のゴールを実現しやすくなる」

引用元: 「俺にとってサッカーは人生のウォーミングアップだ」 

活用したい機能は、「傾聴する」「言語化する」のふたつ

ライターという仕事を細かく砕いてどんな小サービスができるかな、と考えてました。

仕事の大枠は、企画、取材、執筆、流通あたり。
考えを巡らせてみて活用したい機能は、「傾聴する」「言語化する」のふたつ。

これをさらに掘り下げると、 


  • 話を聴く→思考の情報整理
  • 話を聴く→聞いてほしい!という欲を満たす
  • 会話の間に入る(家族・友人間・恋人間などの)→モデレーターする→何かの仲裁や話し合いの間役として参加する

これらをオプションとして言語化してもよいし、誌面をつくってもいいと考えました。たとえば自分史の需要がありますよね。

あるいは、言葉を贈ることに着目した「手紙」も気になります。
文章を書くための「補助・執筆」にあたって、傾聴・言語化のふたつが活かせます。

手紙を贈るシーンは、日常生活のなかで意外とたくさんあるのではないでしょうか。祖父や祖母、ご両親、大切な恋人や友人にメッセージを送る機会と、送りたいと思う人はいるのではなかろうか。でも、自分の気持ちを素直に言葉にして伝えるのは、かなりエネルギー必要だなあと思うと、手軽なSNSでメッセージを送ってしまうのです。

IT時代なので、あえて形にも残る手紙というプロダクトとしてメッセージを贈れる「キット」があるなら利用してみたい。ほのかに色味のある長方形の和紙で、フォントにもこだわりも入れてみれば、それは仕上がりとしていいものになるはず。

こんなことを考えてるよと仕事を放り投げて他人に話してみたら、「メールや電話とか様々な媒体があるなかで、あえて手紙を選ぶ価値を提供できるならよいサービスになりそう」とコメントをもらいました。

これを考えるきっかけは以下の記事です。大切な視点だと思いました。

blogos.com

手紙マーケットについてなど、調べてみたいです。

appsto.re

等身大になろう

等身大でいるというのは、生きることにおいて物凄く大切なのだろう、と感じている。

取材でいろんな人から話を聞いてみて、素敵だなと感じる人は、よく「等身大」というワードを使っているから。たとえば、等身大の自分が悩んでいることを企画に落としこむことがいちばんいい、とかね。

コトバンクでは、「等身大」の意味を誇張も虚飾もない、ありのままの姿」と説明しているよ。

等身大でいるってむずかしい?

等身大という言葉に強くに反応した理由は、自分自身が、等身大でいることをむずかしく感じるから。人は相手によって、その人や属するグループが求めるキャラになろうとするよね。たとえば執筆業であれば、媒体ごとにトンマナを合わせていく作業に近いかもしれない。

キャラの使い分けは、ときに、本当の自分とそうでない自分のギャップを大きくしてしまう。人は多面的な生き物だから、人間性の使い分け自体は、悪くない。でも、インターネットによる透明性の時代で、面を使い分けるのは、かなり息苦しくなりそう。

等身大でいることがむずかしく感じる理由は、もうひとつある。意識しなくても膨大な情報が入り乱れている現代の生活環境は、他人の言葉を借りてしまいやすい。インターネットや本で得た情報や誰かに教えてもらったことは、自分で見つけた答えではない。経験や考えをベースにした自分の言葉にはならない。

等身大とは、普段考えていることをちゃんと口にすること。「それは違うんじゃないか」と反論するのも、「これ、やりたい」と声を上げるのも、ありのままの自分だ。声に出さなくても、不言実行できるならばそれでもいいと思うけれど。

自分の等身大を見つけるぞ

等身大であるためには、何か劇的な変化が必要というより、等身大を意識して、徐々に心を開いていけばいいのかなあ。

そうしよう。まずは自分自身を見つめよう。生活も仕事もうまくできそうです。

 

書いて気持ちを整理する

考えたことは残していこうと思って、久々に更新です。自分の思考をダダ漏れさせるあたって、「何を」「どのように書くか」というふたつを、あらためて考えておきます。

その週で気になる・共感したこと

書くことは、その週に気になることや共感したことを書いていきます!

目的は自分の思考を確かめること。 さくさくと書けるような内容にしようと思っています。

書く場所はあやふや

書く場所は、 このはてなブログかnoteに。 noteのほうがタグを入れなくてもよかったり、かなり手軽だけども、友達・知人がたくさんいて思考を覗かれるのは恥ずかしい。しばらくは、書きながら思考安置所を考えます。

書き方は過去記事を踏襲

書き方は、これまでも気まぐれに書いてきた記事の構成を踏襲します。手っ取り早いですからね。

参考例

noteではこんな型でメモをしていたみたい。

  • 気になるテーマの概要
  • 何が面白かった?共感した?
  • 関連するもの、繋げられる事柄はある?
  • まとめ:だからどうする?
  • ひもづけ

しかしながら、このはてなブログの過去の記事を見ると、特に決まった型はないみたい。 自分の遊びや仕事、読書体験から、考えたことや共感したことをネタにして執筆。伝えたいポイントを絞り、見出しは多くても3つ、という構成です。それも参考にしていこう。

さいごに

「あれも、これも!」と、自分の関心事が頭のなかでぐるぐるまわり、気移りばかりしています。風に吹かれる花びらのように気持ちが舞い、散るのは、心中穏やかではありません。 書くことで、自分を落ち着かせたい。書く場所はその都度変えつつも、週に最低でも1回は、気持ちの整理をしようと思います。

古書店主に勧めてもらった山の文芸誌『アルプ』

古書店で「おすすめの文芸作品はありますか」と店主に尋ねた。

店主はレジのすぐ横にある棚にずらりと並べられた、『アルプ』という山の文芸誌を勧めてきた。

どの表紙にも、HG明朝Eフォントのような、高級感のある「アルプ」の文字と山のイラストが書かれている。

例えば山のてっぺんから、からっ風が吹いているようなイラスト、りんごの中にアルプスの山が描かれているものなど。店主はどうやら『アルプ』がお気に入りらしい。ぼくに勧めたくせに、ひとり読みふけりはじめた。

『アルプ』用に、綺麗に整えられた棚の一角にから、適当に1冊を取り出して即決購入。1979年1月に発刊され、251号と書いてある。

驚いたのは、まず裏表紙に山をモチーフにした美しい版画が描かれていること。各執筆者ごとにエッセイが綴られており、時折モノクロの山岳写真が挿入されていること

なにせ元写真部、白と黒だけのシンプルな表現は、直線的な形をした山にピタリと合う。モノクロ印画紙の豊かな階調が奥行きを感じさせ、けれどもストレートに映しだすからこそ、荘厳な山がよけいに畏怖の念を与えてくるようだった。

自分が生まれる前に丁寧に作られた文芸誌の質の高さに驚かざるを得ない。

そしてぼくは『アルプ』の端を浴槽に付け、濡れた手で雑に読んでいる自分を客観視するだけでセンセーショナルな風景だと思った。つまり風呂の中で、贅沢にも2時間読んだいた。ら、のぼせた。

風は時々足許の雪を細い縞にして流したが、青い夕暮れに先立って、空はほんのりと赤らんだ。だがそれも数分とは続かずに、星を一つ見付けた。

編集をしているのは、上の一節を書いた串田孫一さん。好きな文言だ引用した。

カモシカがこの地球上に存在することに、そしてクマにシカにキツネにタヌキに、……、いろんな動植物が存在しているこの事実に、この生物界の多様性に人々は、なぜもっともっと素直に驚いてくれないのだろうか。

上記の一節は、小野木三郎さんという方が書いている。郎の字だけ同じ名前で親しみを感じたので引用したが、なんと熱い文章だろう。あなたの問いに驚いたけど、大好きだ。

調べてみると、下記のような執筆陣がいたそうだ。正直、全く知らない。

詩人尾崎喜八、洋画の曽宮一念、エッセイスト河田槙、版画の畦 地梅太郎、写真家の内田耕作、作家の深田久弥、画文で辻まこと、随想では山口曜久、作家の庄野 英二、植物学者の宇都宮貞子、北海道の坂本直行、アイヌ文学の更科源蔵、画文の一原有徳など、 そうそうたる著名人が延べ600人も執筆した

引用:http://huwaku3028.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/08/f736c124ad0d7ed4fe101c2275d897f3.pdf

B5サイズの全六八ページとコンパクトですらすら読める。山をテーマとしているが、山のコース紹介や知恵、山用具などの記事はなく、広告がいっさい無いのも特筆すべきポイントと感じる。

風呂から上がる瞬間、店を出る間際にくれた店主の一言を思い出す。

文芸誌には自然がいちばん合うと思いますよ。」

休日に贅沢にもお風呂に浸かりながら熟読してみたが、また『アルプ』を置くあの古書店にいかねばならない。

小回りのきく出版の型

最近は小回りのきく出版の方法を考えています。 クレイグ・モド著、『僕らの時代の本』を読んでちょいとメモ。

超小型出版の特徴と美学については以下とのこと。

  • 小さな発行サイズ ( 1号あたり3~7記事 ) 
  • 小さなファイルサイズ ・デジタルでの流通を意識した購読料 
  • 流動的な発行スケジュール 
  • スクロール (ページ割やペ ージめくりといったペ ージネ ーションは不要 )
  • 明快なナビゲ ーション・HTML(系 )ベ ース 
  • オ ープンウェブ 
いつ読んでもらうのか

自分が読者であれば、どのタイミングで読みたくなるのか。それを考えるには間の時間だったりアイデアを探していたりわからないことがあったりする問題に直面したときだと言います。

「コ ーヒーを買うのに並んでいて 、 10分時間をつぶさなければならない 」という身近な例をとりあげている 。「時間をつぶさなければならない 」という問題に直面した人々は 、それを解決するためにスマ ートフォンの力を借りて 、10分を趣味や学びの時間にあてるのだ 。

小型出版の例

本著では、魅力的な小型出版として『The Magazine 』を取り上げていました。

ブログが出版業界に位置しないのと同様に、『The Magazine』は雑誌業界に位置するものとは思っていないそうです。雑誌だけども、もっと新しい位置づけとのこと。

  • 各号4~5記事のみ 
  • 各号の大きさは数メガバイト以下 。 

ダウンロ ードに数分や数時間かかる多くの電子雑誌とは違い 、数秒でダウンロ ードできる

  • 購読料は月1.99ドル
  • Newsstand経由でプラットフォ ームへスムーズに配信される 
  • 出版は月2回 
  • ページネ ーションなしのアプリケ ーション
  • ナビゲ ーションは一貫していて 、完全に直感的 
  • HTMLベース
さいごに

ざっくりと本著を引用しましたが、低コストで継続的におこなえる点で、今小回りのきく出版を考えている人にはとても参考になると思います。

Issue 58 — The Magazine

Matter — Medium

引用:『ぼくらの時代の本』クレイグ・モド著

ぼくらの時代の本

ぼくらの時代の本