本田圭佑に学び、ウォーミングアップしてみた

いい記事だと思ったら、どの点に、なぜ「いい」と思ったのか、少し立ち止まり考えてみたく、時間を用意した。まずは王道を攻めたいと考えて、pocketから引っ張りだしたのはこの記事。

newspicks.com

これは2014年の11月14日にnewspicksで公開した記事だ。木崎記者がACミラン所属の本田圭佑に突撃取材し、人生・経営・サッカー論がテーマに本田が語った。公開から1周間で2500コメントを超える。

いいなと思った点を箇条で書いてみる。

1:取材中の「状況」「様子」を描いているから。読み進めるとリアルな絵が浮かんでくる。

11月9日、ミラノ――。

マルペンサ国際空港の荷物検査の出口で待っていると、ワインレッドのスーツを着た本田圭佑が現れた。左手に黒皮のハンドバッグ、右手に黒皮のスーツケース。いつもの出張スタイルである。

「今日は話をせえへんで。さっきも突っぱねてきたところだから」

 

2:聞き手と話し手の距離感がわかること。なお、本田圭佑と本田くんと呼び名を使い分けている。

――まずは本田圭佑の経営論を聞かせてほしい。

本田:「経営論をここで話したら切りがないよ。しかも経営なんて全然そこまで、まだ語れるほどのレベルじゃないし。ただ、まあ勉強している最中ではあるよね」

――いろんな本を読んだり、人に会ったりとか?

本田:「うん。おもしろいよね、そういう意味では。サッカーを始めた頃を思い出すような」

――本田君はサッカースクールをものすごい勢いで増やしている。なんでそんなに数やスピードにこだわるんだろう。

 

3:長くとも3,4行で本田の話を必ず区切る。合いの手を一定のリズムで入れる。

4:本田だけれども、切り口はサッカーに重心を置かない

5:誰もが知っている文脈。本田であることは、話題にできる。みんなが知っているものを違う切り口で取り上げることが、当たり前のように大切なポイント。

テレビで見た番組は、「ここがおもしろかったね!」と翌朝友人と話せる。対してウェブだと、読んだ記事をSNSにシェアして満足し、個人で完結する人のほうが多い。

そもそも話し相手が該当する記事を読んでいないことは当たり前のようにある。そんな状況において、読後の文脈を共有してうえで会話の中心に記事がある仕組みはとてもいい。

6:見出しがバナーに。テレビ番組のスライドを思い起こさせる。たとえば日本一受けたい授業みたいな。

7:後半部、話し手の言葉に「」を入れる。本田が話している事実を強調している。

本田:「サッカースクールについて1度言っておきたかったことがあって。自分がやっているのは、普通のサッカー選手がやっているサッカースクールの関わり合いと、多分、違うと思うのね」

8:インタビュイーが「わたし」「おれ」ではなく「本田圭佑は〜」と自分をフルネームで言うことによる、フルネームの力。

有言実行してきた本田圭佑だが、フルネームには宣言する効果がある。

本田:「今、日本のCMで自分の卒業文集が使われて、本田圭佑のバックグラウンドが日本では知られるようになった。世界でもそれが知られれば、もっと自分のゴールを実現しやすくなる」

引用元: 「俺にとってサッカーは人生のウォーミングアップだ」